コラム-TVCMと動画CMの違いとは
視聴者のための発想
デジタルデバイスの多様化と高性能化、そしてインターネット回線の超高速に、データの大容量化などをはじめとしたハードデバイスの劇的な変化に加え、YouTubeなどメディアインフラの発展は、インターネット広告に大きな影響を与えました。特に、ユーザーがスマホを使って、SNSなどを使うようになったことで、企業は既存のオウンドメディアではユーザーとのエンゲージメントを取ることが難しくなったので、新たな広告手法を求めるようになりました。
その一つがネイティブ広告であり、もうひとつが動画広告です。この数年で、インターネット広告市場では、これまでのバナー広告などよりも高い訴求力を持つ動画広告が急激に増えました。これはアメリカの動画広告市場でも見受けられた事象で、日本でも拡大期を迎えており、当社でも大手広告主からの問い合わせが増えています。
しかしながら、ユーザーの多くはスマホを利用しており、そのユーザーに対しては、まだ効果的にアプローチする手段が少ないのが課題として業界には課されています。更に言えば、そもそも動画CMのコミュニケーション設計が出来ない制作会社が多い中、ユーザーに動画の趣旨が伝わるかも疑問であったりします。
そもそも、動画CMのコミュニケーション設計はテレビのコミュニケーション設計とは異なります。簡単に言えば、テレビコマーシャルは「買わせる」発想で伝わりましたが、動画広告は「視聴者のためになる」発想でないと伝わりません。
つまり、いち早く動画広告に着手し、コミュニケーションノウハウを貯めてきた私たちとしては、動画広告は大きく2つの用途にわかれると考えています。
一つは、TVCMの発想から来る広告認知効果としてのアテンション(接触)として、「疑似体験」なり、「刷り込み」としての「高い訴求力を持つ」動画広告の活用である。いわば、TVCMをインターネット広告枠に配信するモデルである。
もう一つは、インターネットの特性を尊重したユーザーファーストの考え方に立脚し、視聴者ユーザーにとっての「気づき」となるような共感・理解促進モデルである。これは、動画広告として「訴求」するよりも、「共感」を得ることを前提とする発想であり、「買わせるため」の動画ではなく、「売り込まなくても買ってもらえる関係性」を構築するコミュニケーションの設計であると考えています。
だからこそ、視聴者ユーザーの消費原理は、今までの消費欲求だけではなく、「顧客のその先の関係性(物語)」にあると当社では着目してコミュニケーション設計を行っているのです。